田園を行く旅 北条鉄道(兵庫県)

トトロに会える懐かしい風景

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ディーゼル車が駆け抜ける沿線に宮崎アニメ「となりのトトロ」そのままの世界が広がる。

神戸の中心、三宮から電車で約1時間の郊外を走る「北条鉄道」は粟生(あお)駅からスタートする。走り出すとディーゼル車特有の大きな音に胸が躍る。

 北条鉄道沿線を一日中楽しむなら「1日フリーきっぷ(大人840円) 」の利用がおススメだ。粟生駅から乗車する場合は無人駅のため車内できっぷを購入すると、仮のきっぷが渡される。仮のきっぷは終点の北条駅で今では珍しい硬券のきっぷに交換してくれる。

 粟生駅から2つ目の田原駅とその次の法華口駅の間には、通称「緑のトンネル」と呼ばれる列車が木々の間を走るポイントがある。別名「トトロのトンネル」とも呼ばれ、車両の前か後ろの窓から見ると、森の中のトトロの通り道を走っているようにみえて幻想的でおススメだ。

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 「トトロのトンネル」を通り次に停まるのは法華口駅だ。駅名標が年代物でほっこりさせてくれる。

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 この法華口駅から次の播磨下里駅間は、下車をして散歩をすると気持ちが良い田園風景が広がる。直線区間を間近に走る北条鉄道の撮影スポットとしてもおススメだ。この鉄道は非電化のため柵がなく、自然が豊かな写真を撮ることができる。

途中下車で沿線を満喫

 播磨下里駅の次の、長(おさ)駅も昔の雰囲気が残されており魅力的である。この駅の駅舎は大正4年建設と北条鉄道で最も古いものであり、国登録有形文化財にも指定されている。ちなみに、前の播磨下里駅法華口駅の駅舎も国登録有形文化財である。時刻表の看板の下には「トトロのトンネル」にちなんだ、トトロの絵が描かれている。

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 次の播磨横田駅は、これまでのレトロな雰囲気とは一変、現代的なアートを楽しめる駅になっている。春には、ホームに八重桜がきれいに咲き彩る。そして終点の北条町駅に到着。北条町駅北条鉄道で唯一の有人駅で、駅舎も近代的である。また車両基地が隣接されている。北条鉄道では現在は3編成運行されており、セミクロスシートの車両とロングシートの車両がある。駅構内では北条鉄道のグッズや、地元の飲料、お菓子などが販売されている。法華口駅で買った地元の米粉を使ったパンを、ここの北条鉄道オリジナルソーダで食べるのも思い出になるだろう。

 北条町駅前は大型スーパーや、ショッピングモールもあり、街ぶらも楽しめる。お好み焼き屋や、ラーメン店など地元のB級グルメを見つけるのも楽しみ方のひとつだ。

 片道約22分。全長約14㎞の短い路線だが、たくさんの見所が詰まっている。また、全駅下車も難しくないため、楽しみ方は何通りもある。

 自分にちょうどいいローカル線の旅を満喫することができるだろう。

www.hojorailway.jp